はじめに
埼玉県重症心身障害児(者)を守る会は、昭和39年に全国重症心身障害児(者)を守る会が掲げた「最も弱いものをひとりももれなく守る」という基本理念のもと力強く運動していた会員によって、昭和41年に設立されました。
当時の国の福祉は、障害が重く社会復帰のできないものには手が差し伸べられず、我が子を愛し懸命に育てながらも他人には知られないよう家の中に隠しさえしていた時代でした。そんな中、親達の前向きな姿勢と熱意を持った行動が国や自治体を動かし、次第に国立・県立・民間の入所施設が整備され、その後、短期入所の充実も図られることになりました。
また、在宅重症心身障害児者への施策の一つとしての通所施設は、重症児施設に併設されるようになり、民間でも小規模施設(生活介護)事業所等が整備されてきました。時代の変遷とともに幼児も通所できるようになりました。特別支援学校の児童においては、放課後等デイサービス事業所ができ、家族支援の視点も取り入れられるようになりました。何も理解できないように思われる重症心身障害児者ですが、敏感に周りの状況を受け止めており、親はどんな子どもでも自立して欲しいと願っています。
「子どもの自立は、社会の中でその子らしく生き、そして生き抜くこと。」
医療と福祉の連携なくしては、生きられない子どもたちにとって、入所施設は最後の砦といえます。成人になっても小児科領域の医療も必要とします。児者一貫の支援体制は、全国重症心身障害児(者)を守る会によって実現しました。今では入所・在宅に関わらず子どもの命と生活を守ってくれています。
どんなに世の中が変わろうと、重い障害のある子どもの命と向き合い、わずかな成長を喜び、重症心身障害児者の福祉・医療・教育の向上と充実を願って活動を続けています。
重症心身障害とは
重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した状態(下図1-4)をいい、その状態にある子どもを「重症心身障害児」といいます。さらに、成人した重症心身障害児を含めて「重症心身障害者」と定めています。
※5~9が周辺児者と呼ばれています。また近年は動ける人工呼吸器や、たんの吸引、胃ろう等の医療的ケアが必要な人たちが増えてきています。
守る会の基本理念
一 決して争ってはいけない 争いの中に弱いものの生きる場はない
一 親個人がいかなる主義主張があっても 重症児運動に参加する者は党派を超えること
一 最も弱いものをひとりももれなく守る
親の憲章
― 重症児をはじめ弱い人びとをみんなで守りましょう。
― 限りなき愛をもちつづけ、ともに生きましょう。
― 障害のある子どもをかくすことなく、わずかな成長をもよろこび、親自身の心をみがき、健康で豊かな明るい人生をおくりましょう。
― 親が健康で若いときは、子どもとともに障害を克服し、親子の愛のきずなを深めましょう。
― わが子の心配だけでなく、病弱や老齢になった親には暖かい思いやりをもち励ましあう親となりましょう。
― この子の兄弟姉妹には、親がこの子の命を尊しとして育てた生き方を誇りとして生きるようにしましょう。
― 施設は子どもの人生を豊かにするために存在するものです。施設の職員や地域社会の人々とは、互いに立場を尊重し、手をとり合って子どもを守りましょう。
― もの言えぬ子どもに代わって、正しい意見を言える親になりましょう。
― 親もボランティア精神を忘れず、子どもに代わって奉仕する心と行動を起こしましょう。そして、だれでも住みよい社会をつくるよう努力しましょう。
― 親の運動に積極的に参加しましょう。親の運動は主義や党派に左右されず、純粋に子どもの生命の尊さを守っていきましょう。
事業内容
主な活動 →活動報告のページへ
定期総会、療育支援在宅交流セミナー、療育相談会、保護者研修会・懇談会(語ろう会)、施設見学(適宜)、全国大会・関東甲信越ブロック大会参加
主な他団体への協力・参加
(社福)埼玉県障害者協議会に加盟・協力
全国守る会への協力
全国重症心身障害児(者)を守る会の一員として(社福)全国重症心身障害児(者)を守る会に協力
<会員には重症児者にかかわる情報誌「両親の集い」が送付されます>
県・市町村への要望書提出
福祉部障害者支援課(重症心身障害児者のこと)
教育局(特別支援教育に関すること)
障害福祉課・子育て支援課(重症心身障害児者に関すること)
へ要望を届けています。
活動実績
通所施設
重症児者を対象とした多機能型事業所(通所)の児者一貫体制の維持・継続されました。
入所施設 (元重症心身障害児施設)
① 重症児者の特性が配慮され、児者一貫制度が 恒久化されました(前提条件あり).
② 外出・外泊時に同行援護(移動支援)が利用できるようになりました。
居宅訪問型児童発達支援
通所支援を利用するために外出が困難な重症児に居宅を訪問しての支援を受けることができるようになりました。
重度訪問介護の訪問先の拡大
ヘルパーの派遣先を、これまで「居宅」に限定していたものを「医療機関(入院)」にも拡大されました。※ただし、最重度の障害者 (障害支援区分6)
医療的ケアを要する障害児への保健・医療福祉・教育等の支援体制整備
- 児者一貫の療育支援体制が認められる。
- 短期入所をレスパイト目的でも利用できるようになる。
- 児童発達支援や放課後等デイサービス、通所施設の拡充されるようになる。
- 障害者の生涯学習や障害者スポーツが推進されている。